2008-07-01から1ヶ月間の記事一覧

さて本書の發見に至るまでの經路を述べるには其れが今までに如何に待遇せられて居たかを述べなければならぬ。 そも〳〵本書は身延山久遠寺の支院武井坊正行{タケヰバウシヤウギヤウ}院(住職は小松海淨師、久遠寺の執事、紺綬褒章拜受、日露役の名譽の負傷…

徳川期に於ける語原解釋の主なる主義は、通畧延約説と音義説と、擬聲説とであるが、此の中鈴木朗の擬聲説は、今日から云へば最も注意すべきであるが、實際としては最も勢力無く、〈音義説が朗の説より出て居るとの解釋は自分は取らない〉その悉曇の字義字相…

鎌倉期の語原辭書名語記十帖に就いて(上)

岡田希雄 國語・國文 5(11): 81-106 (1935)