2010-07-01から1ヶ月間の記事一覧

(編者附記)

聖徳堂刊本は内閣文庫に二部あり、一部は蒹葭堂舊藏本である。四卷本は杭城徐龍峰刊本で、目録には四言雜字とあるが、實は四言・五言・六言・七音雜字各一卷である。静嘉堂文庫所藏松井本は票山本である。複製會本の原本を見ないから、斷言しかねるかも知れ…

對相四言雜字について

岡田希雄 書誌學 14(6): 1-8 對相四言、又は對相四言雜字と云ふ貧弱低級な繪入讀本がある。何れも支那製の簡單低級な童蒙用繪入單語讀本の日本版であるが、是れが本邦の繪入百科辭書たる訓蒙圖彙と關係を有するのでは無いかと疑はれる點で注意せらる可きもの…

本書とよく似たものに、川瀬氏指摘の新韻集二卷がある 全くの色葉分類平仄辭書だが、イロハ各部の部名字は、平他字類抄よりは色葉文字に近く、仄と云はず他と云ふ點は、平他字類抄や伊呂葉字平它に似て居る。字數は色葉文字よりも遙かに多く平字三九一五字、…

さて斯う云ふ本文を有する本書が、平他字類抄より出たと見られる伊呂葉字平它の一類本である事は確かだが、さて其れでは明應本と別本との何れに近いかと云ふと、明應本や別本を見ないで、川瀬氏の読明と寫眞とにより窺ふだけの事だから、殆んど比較の仕様も…

川瀬氏は兩本のチ{(ち)}部の寫眞を出して居られるから、今寫眞と比較できるやうにチ部を擧げると 知 平 街〈チマタ/カイ〉 衢〈同/ク〉 阡〈同/セン〉 陬〈同/シウ〉 塵〈チリ/チン〉 埃〈同/アイ〉 兒〈チコ/シ〉 幾〈チカシ/キ〉 茅〈チカヤ/…

色葉文字は、漢字をば其の代表的和訓の頭字により(毒〈トク〉陣〈チン〉軸〈チク〉智〈チ〉存〈ゾンス〉僧〈ソウ〉疸〈ソ〉俗〈ゾク〉藝〈ゲイ〉の如き國語化した字音語では無論字音頭字による)色葉順に擧げ、さらに以の部、呂の部等の各部に於いて平聲と…

色葉平仄辭書色葉文字に就いて

岡田希雄 書誌學 11(4): 117-122 安田文庫の椎園第三輯を頂戴したが、其れに川瀬氏が、同文庫の伊呂葉字平它明應十年本及び其の別本と目す可きものを紹介して居られるのを有益に拜見したに因み、「別本」の一類と見られる「色葉文字」を紹介して見る。

日典日奧舊藏の温故知新書

岡田希雄 書誌學 11(3): 94-95 臺灣の神田喜一郎氏が、本誌〈昭和十三年四月七月兩號〉で「妙覺寺常住日典」の題名の下に、日典の藏書印ある古書につき述べて居られ、ことに「補正」では、他日日典舊藏書目を作りたいと云つて居られるので、後れ走せながら私…