一〇四 誕生(三一)

○一〇四 誕生(三一)  上音單、訓麻禰爾マネニ、育生也
慧苑にも大治本にもある。慧苑には誕唐亶反、珠叢曰誕育也、賈注國語曰育生也とある、私記には誕育也が脱して居る。大治本は徒亶反、謾也、亦欺也、不實也に作る。この誕生の語は經文〈一五二ウ上一〇〉に示㆓現誕生事㆒とあり生れる事を云つて居るのだから、大治本の註は全く無意味である。そして私記がマネニの訓を附して居るのは、大治本の註に基くものであり、是れも無意味である。四十七卷にも示誕〈下徒旦反、欺也、不實也〉とあるが、是れも示㆓誕王宮㆒と云ふ經文の註だから誤である。さてマネの語は神功紀五年の訓や宇津保にあるが、古いものに假名書は無い。マネブ・マネスから考へるとマネが古く、マネも動詞の名詞形だらう。