一一三 唇頸(四八)

○一一三 唇頸(四八)  上口比流クチビル、下久鼻クビ
慧苑に無し。口比流はクチビル。(現在ではクチビルの語しか無いが、本書六十八卷にクチザキラがあり、和名抄にも見える、其の條參照)比の假名の當否不明。クビは記の三貴子分治の條に御頸珠、萬葉集にワガ戀ハチ引ノイハヲ七バカリ頸二將繋母クビニカケムモとあるが、假名書の古いものは無い、新撰字鏡や和名抄には無論見える。ビの假名不明、倭訓栞はクビのウシロのクボミ即ちボンノクボに基く名と云ふが信ぜられない。但し狩谷望之は從うて居る。