2008-03-08 一四三 印釧(六六) 新譯華嚴經音義私記倭訓攷 箋註 ○一四三 印釧(六六) 上印文、下手卷{タマギ} 慧苑に無し、經文〈三一五オ上尾二〉に天妙摩尼、以爲㆓印釧㆒莊㆓嚴其臂㆒とある。釧は臂環だが、手卷はタマキと訓むべく、和訓を示すものである。萬葉集七に海神{ワタツミ}ノ手ニ纒キモタル玉故ニとあるが十五の三六二七には明らかに、海神ノ多麻伎ノ玉ヲ家ヅトニとある、枕詞としては倭文手纒{シヅタマキ}の語がある。靈異記興福寺本第五話に「鐶〈太萬/支乃〉」(但し本文には環とあり)、承暦三年の金光明最勝王經音義に「釧〈仙音太/萬伎〉」、タマキは名義抄にも見えるが、和名抄は射具のタマキを擧げるのみで、裝身具の釧はヒヂマキと訓んで居る。