一四三 印釧(六六)

○一四三 印釧(六六)  上印文、下手卷タマギ
慧苑に無し、經文〈三一五オ上尾二〉に天妙摩尼、以爲㆓印釧㆒莊㆓嚴其臂㆒とある。釧は臂環だが、手卷はタマキと訓むべく、和訓を示すものである。萬葉集七に海神タツノ手ニ纒キモタル玉故ニとあるが十五の三六二七には明らかに、海神ノ多麻伎ノ玉ヲ家ヅトニとある、枕詞としては倭文手纒シヅタマキの語がある。靈異記興福寺本第五話に「鐶〈太萬/支乃〉(但し本文には環とあり)、承暦三年の金光明最勝王經音義に「釧〈仙音太/萬伎〉」、タマキは名義抄にも見えるが、和名抄は射具のタマキを擧げるのみで、裝身具の釧はヒヂマキと訓んで居る。