(編者附記)

聖徳堂刊本は内閣文庫に二部あり、一部は蒹葭堂舊藏本である。四卷本は杭城徐龍峰刊本で、目録には四言雜字とあるが、實は四言・五言・六言・七音雜字各一卷である。

静嘉堂文庫所藏松井本は票山本である。

複製會本の原本を見ないから、斷言しかねるかも知れないが伯壽が陳伯壽であり、貞治六年の來朝後に開版したといはれる結論は、少し論據が不十分であると思ふ。複製會本に底本を明暦頃の紙質に近いとあるからには、やはり伯壽は、彼土に於て、洪武辛亥に王氏勤有書堂で刊行せられたときの刻工であらう。

私は、後印求版本ながら、新刻四言對相・新刻四言雜字・新刻五言雜字・新刻六言雜字・新刻七言雜字・新刻字雜便覽を六卷に合刻した本を藏する。明版明印、萬暦庚子仲冬書林楊泰齋梓の蓮牌木記があり、朝川善庵の舊藏である。

中村暢齋は惕齋ではあるまいか。

校正中、失禮を顧ず附記する。(長澤)