六四 輟己(二一)

○六四 輟己(二一)  上丁劣反、止也、已也、己止也、己居里反、倭云於乃禮オノレ、輟言㆘止㆓却自用㆒廻㆗與人㆖也
慧苑にも大治本にもある。兩方により此の註を作つて居るのだが、矛盾もあり誤字もある。其の問題と成るは輟字の下の字だがこれは、經文〈一〇五オ下五〉得㆓種種上味飮食香華衣服資生之具㆒若自以受用則、安樂延年、若輟㆑己施㆑人則窮苦夭命」とあるのや慧苑の註によると己字で無ければならぬが、經文も慧苑も私記も己を巳に誤つて居る。今意改した。倭字も禾篇に誤つて居るが意改した。已止也の已も巳と書いてあるのを今意改したのだが、此の三字無い方が可い。さて倭訓のオノレは萬葉集に見える。