六六 心肺(二一)

○六六 心肺(二一)  〻音辨、訓布〻久〻之
布〻久〻之は今の書方では布久布久之と書く。肺をフクフクシと云つた事は和名抄に見えるが石山寺藏天安二年大智度論には肺字を不久不久と訓じ、之字無し、これは恐らく假名點として完全に註記せなかつたのに過ぎなからう〉新撰字鏡は脯字一ノ一三オ八肉月に奚を書いた字一ノ一三オ八勾を書いた字一ノ一三オ三弗を書いた字一四ウ六をフクフクシと訓んで居る。但し其の漢字としての字義は脯も其の次ぎの二字も、乾肉ホジシの義であるから、何故フクフクシの訓があるのかは知らぬ。さて此の肺字の音を「辨」と云つて居るが、これも據る所を知らぬ。脯字の事八五で説く。