一一一 從㆓一切智歌羅邏位㆒(四二)

○一一一 從㆓一切智歌羅邏位㆒(四二)  未㆑知㆓其一切智云意㆒、此疏可㆑見、歌邏羅者、此云薄酪、初入㆑胎、如㆓薄酪㆒也、父母赤白精、成㆓酪状㆒也、酪者、己禮利コレリ
慧苑に無し。經文一九九頁裏上段に説明が見える。歌羅邏が梵語で、位は漢語である。父母の赤白の精液和合して精虫と卵子とが合體した状體を歌羅邏位と云ふ。菩薩摩訶薩にしても、一切智に於いて、未だ歌羅邏の未熟な程度より、次第に信解願力漸次増長すると云ふのである。さてコレリは凝レリである。凝コルは、紀に其矛鋒滴瀝之潮、凝成㆓一島㆒名㆑之曰㆓磤馭盧島㆒とあり、於能碁呂嶋は自凝島だと云はれる。萬葉の枕詞「味凝」もウマゴリと訓まれて居る。新撰姓氏録に建凝命天津彦根命十四世の孫、大和神別奄知アムチ造の條〉は建許呂命〈大和神別三枝部連、和泉神別高市縣主の條〉とも書かれて居る。記の許袁呂も凝ルのコと縁ありとすると、假名は乙類で一致する。但し有坂氏法則と合はないが何うか。