一一九 曲身低影(五九)

○一一九 曲身低影(五九)  上可〻末利カヾマリ、低、可多夫久カタブク
慧苑に無し、經文〈二七八ウ下一二〉菩薩摩訶薩坐㆓道場㆒時、一切世界草木叢林、諸物無情物、皆曲身低影、歸㆓向道場㆒、是爲㆓第四未曾有事㆒とあるもの、カヾマリは自動詞の連用形だが、此の文面では他動詞に讀んでも可い處だらう。東大寺諷誦文稿に「曲形カヽマレル」金剛般若集驗記〈一ノ二一〉に屈字をカヽマリヌと訓じ新撰字鏡は僂を加〻万留と訓んで居る。カタブクは記清寧段歌垣の條に「隅加多夫祁理」、又欽明紀三十一年に膳臣カシハデノオミ傾子と云ふ人が見え、傾子に、舸施部古カタブコと註して居る、崇峻前紀に膳臣賀拖夫とあると同人だらう。石山寺大智度論一種點に「身不㆑カカマラ」。