2008-02-13 一一九 曲身低影(五九) 新譯華嚴經音義私記倭訓攷 箋註 ○一一九 曲身低影(五九) 上可〻末利{カヾマリ}、低、可多夫久{カタブク} 慧苑に無し、經文〈二七八ウ下一二〉に菩薩摩訶薩坐㆓道場㆒時、一切世界草木叢林、諸物無情物、皆曲身低影、歸㆓向道場㆒、是爲㆓第四未曾有事㆒とあるもの、カヾマリは自動詞の連用形だが、此の文面では他動詞に讀んでも可い處だらう。東大寺諷誦文稿に「曲形{カヽマレル}」金剛般若集驗記〈一ノ二一〉に屈字をカヽマリヌと訓じ新撰字鏡は僂を加〻万留と訓んで居る。カタブクは記清寧段歌垣の條に「隅加多夫祁理」、又欽明紀三十一年に膳臣{カシハデノオミ}傾子と云ふ人が見え、傾子に、舸施部古{カタブコ}と註して居る、崇峻前紀に膳臣賀拖夫とあると同人だらう。石山寺藏大智度論一種點に「身不㆑曲{カカマラ}」。