一六三 被甲(六九)

○一六三 被甲(六九)  上皮義反、可何布流カガフル、下可夫度カブト
慧苑にあり、反切は慧苑に一致する。經文〈三三〇ウ上二〉に被㆓大精進甲㆒とあり、例により大精進を甲に喩へて居るのであるご。甲をカブトと訓むは宜しく無い。カガフルは十七卷五六で、カブトは四五七五で既述した。

○以上で新譯華嚴經音義私記の倭訓は箋註を濟ませたのだが、參考として、大治本所見倭訓を附載する。大治本には倭訓が十四項二十語見えるが、其の中、六十八卷までの九語は、すでに言及したから、七十五卷以下の十一語につき箋註する。