一六四 傭長(七五)

○一六四 傭長(七五)  上應作㆑×、傭同、恥恭反、字從㆑肉、不㆑從㆑用、故傭非㆓此要㆒也、×者×滿也、‥‥倭言麻利〻加爾マリリカニ〈○以下略〉(×は〈旁は庸/篇は月〉
慧苑にも音義私記にも無し。經文〈三五九ウ下一〉には兩肩平滿雙臂×長とある。‥‥の所は文字の判らないのがあるから五字省いたのだ。下略のところは四十字省略、但し省略しても支障ありとは思はぬ。×は字典に均也直也とあり、國語辭典にはマリヽカニの語を採録せないが、新撰字鏡〈一ノ一三オ二〉に×を奈太良加爾、又曾也加爾、又万利〻加爾と訓み、石山寺藏大般若經音義中卷に、×圓の上字を倭言麻利〻加爾と註し、石山寺藏平治元年移點の蘇磨呼童子請問經に×圓〈×は糸篇に旁は龍〉をマリヽカと訓み〈大矢博士による〉名義抄・字鏡集にも此の語は見える。三卷本色葉字類抄にも圜をマリヽカと訓んで居る。恐らくまるくムツチリとなだらかにある事を云ふのであらう。