擬聲語、擬態語にも、今のと異りて珍しく見えるものが多い。

  • ○ズハエヤ竹ヤノノヱ〳〵トアル〈ト〉イヘルノエ如何、答、ノエハナヲイケ〈ノ〉反、直氣也、ナヲヤク〈ノ〉〈ハ〉ノユ也〈三帖〉 ノヱ〳〵は此の直氣の解釋によると、眞直である事を意味するらしい。
  • ○人〈ノ〉ヲロカニユルヤカナル〈ヲ〉ヘロリ〈ト〉アル〈ト〉イヘル如何〈七帖〉
  • ○モノヽキリクチノミタ〳〵トアルヲバワハク〈ト〉イヘリ如何〈七帖〉 ミタ〳〵は亂れて居る樣か。ワハクは後の所でワワクとも書かれて居る。萬葉集のワヽケサガレルのワヽクである。
  • ○クチ〴〵ニ物イフワシ〳〵如何、ワガスヂ反リテワシ也、カサネテイヘバワシ〳〵也〈九帖〉 今のワイ〳〵、ガヤ〳〵に當るか。
  • ○ヤニ〳〵如何〈九帖〉 樹脂ヤニを二度云ひて副詞にしたもの、ニチャ〳〵に當るだらう。
  • ○水ヲワタルヲトノソフリ〳〵如何〈七帖〉 サフリともある。今のザブ〳〵に當る。
  • ○風〈ノ〉ハヽハ〈ト〉フク〈ト〉イヘルハヽハ如何……、火〈ノ〉ハヽハ〈ト〉モユル如何、……人〈ノ〉ハヽハ〈ト〉キタル如何〈七帖〉
  • ○家〈ノ〉ソボチヤブレタル〈ヲ〉ハラ〳〵トアルトイヘル如何〈九帖〉
  • ○家〈ノ〉シツラヒナクテ、ミエスキタル〈ヲ〉ハア〈ト〉アルトイヘルハア如何〈三帖〉
  • ○裁許領状返事ナドノニブ〳〵ナルナドイヘルニブ如何、……ノビハムノ義也〈三帖〉
  • ○水ノニコ〳〵、人ノ詞ノニコ〳〵如何、コレミナ濁ノ字ノニゴルノハジメノニゴ〈ヲ〉イヘルナルベシ〈三帖〉
  • ○クチ〈ニ〉〈ヲ〉カム〈ニ〉ニコ〳〵トカムトイヘルニコ如何、ノミカホ〈ノ〉反、ノミコロ〈ノ〉〈三帖〉
  • ○小兒モシ〈ハ〉小鳥ナドノアソビアリク〈ヲ〉チリ〳〵トス〈ト〉イヘリ如何〈三帖〉
  • ○オモヒ〈ノ〉ホカナル人〈ノ〉ソヽラ〈ト〉キタレルノヲマヽソヽラ如何〈七帖〉
  • ○ナラ〳〵ト物ヲカラクル如何〈九帖〉 此のカラクルは繩などでカラメル事を云ふ。
  • ○目ノウル〳〵如何、小兒ノナカムトスル時ハ、目ノウル〳〵トナリテ、涙ノウカブ也、有涙〻〻歟、又ワフラル〳〵ノ反、ウムラル〳〵ノ反、ワフラクノ反同ジ〈九帖〉 ウル〳〵は目の潤む樣を云ふ擬態語である。
  • ○スヾメノナクシウ〳〵如何……又スミワブヲ反セバ、シウトナル、ワブル心〈ヲ〉カサ□□シウ〳〵メク歟〈九帖〉 雀の鳴聲は今日ではチュツ〳〵チュン〳〵で示すが、古くはシ又はスであつたからスズメ・シジメ・ジャク(雀)であつたのだ。
  • ○人ノアツマレル所ノヒサ〳〵如何、ヘシサマ〳〵ノ反〈ハ〉ヒサ也〈九帖〉


d:id:Okdky:20080714ニ続ク。