2010-08-06から1日間の記事一覧

さて斯う云ふ眞草本の最初の刊行が何時であつたかは知らぬが――岡井博士が二十年本を最初とせられたのは宜しく無い――現存本では寛永四年九月のが最古である。ところで眞草二體節用集は慶長十六年に例があるが、二體節用集と稱するものが出たのは寛永三年六月…

さて中島翁本は寛永四年九月版、寛永二十年四月摺本、寛永二十一年七月版〈此の年十二月二十三日に正保と改元せらる〉の二版三種であるが、前二者は何れも第五卷のみの零本であり、二十一年本のみが完本である。だが此の四年版(及二十年本)とニ十一年版と…

倭玉篇の一類に眞草倭玉篇と云ふのがある。眞體即ち楷書體に草書體を添へたもので、節用集の二體節用集〈草を主、眞を從とした二行節用集にて、二體節用集の名のあるは、寛永三年六月刊の三卷横本が最初であるが、實質的には、既に慶長十六年九月刊行の美濃…

寛永版眞草倭玉篇攷(上)

岡田希雄 書誌學 14(3): 1-6