2010-08-10から1日間の記事一覧

以上で大體眞草本と元和版との關係を略述したつもりだが、斯う云ふ寛永版眞草倭玉篇としては、自分の見うるものは次ぎの如く三種ある。三種の中一つは後摺で刊行所の異る本であり、版種としては二種である。しかし其の二種は、冠彫關係にあるため、不注意で…

なほ眞草本が元和本の本文、但し主として訓注を破壞して居るか、其れとも訂正して居るかを檢するに、すでに眞草本の親本が元和版であるか何うかを考へる時に述べたやうに、元和版の良くないところを訂正して居る事が多い。なほ然う云ふ例としては次のやうな…

眞草本が元和版に據つたものである事が判明したから、さらに兩者の關係を詳述して見る。先づ部首について云ふと、眞草本は元和版(及び其の親本たる慶長版)の部首と、數及び種類に於いて一致して居り四百七十七部であるが、順序に於いては、僅か二箇處の相…

寛永版眞草倭玉篇攷(下)

岡田希雄 書誌學 14(4): 1-9