現在の朝鮮語では、

sin(神の字音) kui-sin(鬼神の字音) thyön-sin(天神の字音、hはアスピレートを示す)
kui-sin(鬼神の字音)
hün(字音である、母韻は第九母韻)
靈魂
hon-ryöng(魂靈の字音)
sin-ryöng(神靈の字音)

の如きは、皆字音語であるやうだが、(方言俗語の事などは私は知らぬ)訓蒙字會にも

kuis-kös(中ノニウ)
sin-ryöng(中ノニウ 神靈の字音)
kuis-kös(中ノニウ)
nök(中ノ三五オ)
nök(中ノ三五オ)
sin-ryöng(中ノ三五オ、神靈の字音)

とあり、孫穆の雞林類事にも

  • 鬼曰幾心(前間氏云、鬼神の音讀にてkui-sinなりと)
  • 神曰神通

とあるといふ風であり、神や靈を示す純粹の朝鮮語は、全く不明であるが、更らに古く溯り行くと、私は「靈」を示す語に tor, tar と云ふやうな形が存したのでは無いかと疑ふのである。其の理由は左の如くである。