二 叨承(序)

○二 叨承(序)  上他勞反、參也、食也、貪也、餐也、又和豆可爾ワヅカニ、餐蘇昆反、食也〈○參は忝の誤り〉
此の註慧苑とは一部一致するに過ぎない。豆は濁音ヅを示す〈本書中十二例あり皆ヅ〉さてこゝは朕曩劫植㆑因叨承㆓佛記㆒とある、叨はミダリニの義だからワヅカニと訓むは何うであらうか。當時、斯う云ふ場合に、ワヅカニと云つて濟んで居たのだらうか。此の語は本書では他に僅、和豆可爾〈一五卷〉纔、和都可爾〈一七卷〉の二例があるが、假名書例の古いものは他には無い。願經四分律古點に趣字をワツカと訓んで居る、新撰字鏡にも數例見えるが何れも傍訓式に片假名で記入してあり、普通の訓註と記入法が異るから、昌住の原本通りであるか何うかは判らぬ。