一九 事善知識(六)

○一九 事善知識(六)  事云㆓仕奉ツカヘマツル㆒也、次佛放㆓眉間光㆒
此の語、慧苑に無し、經文〈二九オ下一一〉衆生事㆓善知識㆒とある註であるが、次佛放云々は此の註には無關係らしく、二九ウ上尾三行に爾時世尊欲㆑令㆔一切菩薩大衆、得㆓於如來無邊境界神通力㆒故放㆓眉間光㆒とある本文が紛れ込んだものかと思はれる。ところで事はツカヘルと云ふ字だが、仕奉とある以上はツカヘマツルと讀む可きだらう。純粹の漢文式に書けば奉仕であり其れでもツカヘマツルと訓む他は無いが、わざ〳〵仕奉と日本式漢文で書いてあるのだから、愈々ツカヘマツルと訓む可きであらう。一三三の承接の註にも令㆓仕奉㆒也とある。此の仕奉は木村正辭や大矢博士が抄出して居る。