2007-11-05 二一 示巳(七) 新譯華嚴經音義私記倭訓攷 箋註 ○二一 示巳(七) 〻於乃我{オノガ} たゞ斯くあるのみだが、慧苑音義には無い。恐らくは普賢三昧品の第一偈に示㆓巳往昔菩提行㆒〈三三オ下尾三〉とある示巳の巳字の註らしいが、こゝの巳は巳では誤りである、已{スデニ}か己{オノレ}である可きだが、音義私記のオノガが一番妥當であらう、巳を己に改めれば可い。但し本書の如き古寫本では已己巳の別などは無いのが普通である。己の假名書は於乃〈毛〉於乃〈毛〉(續日本紀天平神護元年三月宣命)於能禮、於能豆麻(以上萬葉)などあり、オノガも崇神記に「ミマキイリヒコはや、意能賀命{ヲ}を、盗み弑{シ}せむと」〈崇神紀にも〉天智紀に「橘は於能我枝々生{ナ}れれども」とあり、萬葉集にも見える。