二一 示巳(七)

○二一 示巳(七)  〻於乃我オノガ
たゞ斯くあるのみだが、慧苑音義には無い。恐らくは普賢三昧品の第一偈示㆓巳往昔菩提行㆒三三オ下尾三とある示巳の巳字の註らしいが、こゝの巳は巳では誤りである、スデニオノレである可きだが、音義私記のオノガが一番妥當であらう、巳を己に改めれば可い。但し本書の如き古寫本では已己巳の別などは無いのが普通である。己の假名書は於乃〈毛〉於乃〈毛〉日本紀天平神護元年三月宣命於能禮、於能豆麻(以上萬葉などあり、オノガも崇神「ミマキイリヒコはや、意能賀を、盗みせむと」崇神にも〉天智紀「橘は於能我枝々れれども」とあり、萬葉集にも見える。