三三 橋梁(一四)

○三三 橋梁(一四)  上波之ハシ、下宇都波利ウツバリ
慧苑音義には無い。ハシはで既述した。經文〈六五ウ下九〉當願衆生、廣㆓度一切㆒、猶如㆓橋梁㆒とあるもの、元來梁字は木橋の義であり、それが屋梁の義にも轉じたのだが、經文に橋梁とある以上は、やはりハシである、ウツバリの訓は正しく無い。其のウツバリは顯宗紀室壽の條棟梁ムネウツバリ萬葉集十六食薦スゴモ敷き蔓菁アヲナ煑もち來梁コウツバリ行縢ムカバキかけて息此君イコフコノキミの例があるが、假名書は無い。金剛般若集驗記〈一ノ六〉ウツハリ新撰字鏡には宇豆波利が五語見え、和名抄にも宇都波利とある。新井白石東雅〈六〉「ウツは内なり‥‥ハリとは張也、屋内にありて柱頭を開き張る者なれば、かくいふなり、俗にはハリとのみもいふなり」と云つて居る。