四一 缺(一五)

○四一 缺(一五)  决、訓加久カク、又爲×字
慧苑に見えない。决は音か義か判りかねる。×字は缺字の異體である。さてカクと云ふ語は後にも三例あり、萬葉集卷四鹿煑藻闕二毛カニモカクニモとあり、缺に通ずる決字としては决卷毛綾爾恐カケマクモアヤニカシコシの例がある。此のカクが今の東京語ではカグと成り、此の訛語が優勢に成りつゝあるのは苦々しい事である。