八二 粒(二四)

○八二 粒(二四)  音立、訓米都非イナツビ
これは右の一摶一粒の粒字の註だから、單獨の標出語にするのは宜しく無い。さて粒を古くツビと云つて居た事は十五卷四七で説いた。此の米都非は、後に二十七卷にも米都飛とあるがコメツビか、イナツビ〈和名抄所見〉かは判りかねる、ヨネツビでも惡くは無い。イナ(イネの轉韻形)は顯宗前紀や萬葉に、コメの語は皇極紀二年の童謠にヨネは三一で引いた歌經標式の歌に見え、世尊寺字鏡〈下ノ三七オ〉にヨネノツヒとある。