八四 連膚(二五)

○八四 連膚(二五)  連訓安牟アム、下波太ハダ、音普
慧苑に無し、經文〈一二五オ上七〉に或克㆔來乞㆓連膚頂髮㆒歡喜施與、亦無㆑所㆑吝とあるのだが、連膚の意味を知らない、佩文韻府にも此の語見えない。經文では直ぐ近い所に、〈九行〉厚皮薄皮手足諸指連肉爪甲とある、此の連肉の連と連膚の連と關係ありさうだ。一切經音義索引を見ても、此の語は他の音義に見えない。アムは編ムにて萬葉〈三三二三〉に例あるが、名義抄・字鏡集には此の訓無い。次ぎにハダの語は記應神段に、ハツ波陀赤ハダアカラケミ、輕太子の歌にヤスク波陀フレ、埀仁紀三十九年に阿箇潘娜アカハダ萬葉集に波太、朱引秦不經雖寐アカラビクハダモフレズニネタレドモとある。姓氏録太秦宿禰の條に、秦王が獻上した絹帛が柔軟温㆓煖肌膚㆒賜㆓姓波多公㆒とある波多も、ハタと解するよりはハダと解すな方が説話としては妥當だらう古語拾遺も其の趣である〉此のハダ、六十五巻一三七には波太閇とある。和名抄では波太倍・賀波倍と成るが、カハヘの語は新撰字鏡にも見える。〈膚や肉は連續し居るから連膚・連肉と云ふか〉