三、倭訓索引

右に箋註した新譯華嚴經音義私記所見の倭訓、及び大治本八十經音義所見の倭訓の五十音索引である。假名書のは片假名に改め、下に其の訓に相當する漢字を附し、心刺・大神の類は其のまゝで擧げた。語は或る可く分析的にし、ヒトニギリはニギリにも擧げると云ふ風にした、尤も有り觸れたものに於いては然うもせない。語の下の數字は箋註に於ける番號である。●印を附したのは大治本のみに見ゆるもの、△印は兩方に見ゆるもの、○印あるは其の假名書例が奈良朝期文獻に於いて自分が見出せないものである。

  • ゾ(ナニセムトゾ、ニイルゾ)
  • ○ソヾロケシ澁、三六
  • ソフ添、
  • ソリノボレル貌(隆起)、九八

  • 仕奉ツカヘマツル(事)、一九六
  • 令㆓仕奉㆒(承接)、一三三
  • ツヽム裹、
  • ○ツビ雨滴、四七(米ツビの條參照)
  • ●ツル絃、一六九

  • ○ニイルゾ煑、二五(湯煑一四九も參照)
  • ニギリ(ヒトニギリ)
  • ○ニクム憎、五九
  • △○ニハミチ●ニハミツ(墀)、一二六

  • ○ノミド喉、五三、咽八八
  • ○ノチクイオヨボスナ後悔無及、一一六
  • ○●ノホギリ鋸、一六六
  • ノボレル(ソリノボレル貌)

  • 火打(燧)、三一
  • ●火于知(燧)、三一
  • ○ヒキ鑽、三一
  • ○●ヒキリ鑽、三一
  • ヒゲ(カマチノヒゲ)
  • ヒナ(ヤヽヒサニアリテ)
  • ヒササ(イクヒササアリテカ)
  • ○ヒヂ肘、一四一一四四
  • ○ヒヂノコ泥、七七
  • ヒトニギリ一摶、八一
  • ○ヒトヤ人舍獄囚、八三

訓不明

  • 去末爲耳(爲往)、五四