2007-08-30から1日間の記事一覧

ところで此の語は何を意味するか。自分は今おなにい關係の語を説くに當り引用したのだが、此の語は、從來――と云つても徳川期よりの事であるが――諸學者により、或ひはおなにいの義であると説かれ、又Paderastie(Sodomie)の義であると説かれて居り、一定して…

が此の「かはつるみ」の語はまた、有名な太秦{ウヅマサ}牛祭の祭文にも「鐘樓法華堂乃加波津留美」として見えて居る。一體此の牛祭は、祭禮其のものが異國的な、ぐろてすく極まるものとして、世間に廣く知られて居り、民族學的な研究の對象と成る可きもの…

其の一つは「かはつるみ」と云ふ語である。是れは、宇治拾遺{しふゐ}物語卷一の「源大納言雅俊一生不犯僧に金打たせたる事」の條に左の如くに見えて居るので、普く知られて居る。 是れも今は昔、京極の源大納言雅俊といふ人おはしけり。佛事をせられけるに…

題してOnanie語史攷と云ふのである。おなにい(Selbst-befleckung)其れ自體は、本能的であるとは云へ、公けに口にすべきではあるまい。だがしかし斯う云ふ事實が存する以上は、其の事を示す言葉に就いて考察する事を、卑猥なりとして唾棄する不眞面目な論者も…

Onanie語史攷

大藪訓世 『ドルメン』2(4)、pp.148-151