2010-07-29から1日間の記事一覧

本書とよく似たものに、川瀬氏指摘の新韻集二卷がある 全くの色葉分類平仄辭書だが、イロハ各部の部名字は、平他字類抄よりは色葉文字に近く、仄と云はず他と云ふ點は、平他字類抄や伊呂葉字平它に似て居る。字數は色葉文字よりも遙かに多く平字三九一五字、…

さて斯う云ふ本文を有する本書が、平他字類抄より出たと見られる伊呂葉字平它の一類本である事は確かだが、さて其れでは明應本と別本との何れに近いかと云ふと、明應本や別本を見ないで、川瀬氏の読明と寫眞とにより窺ふだけの事だから、殆んど比較の仕様も…

川瀬氏は兩本のチ{(ち)}部の寫眞を出して居られるから、今寫眞と比較できるやうにチ部を擧げると 知 平 街〈チマタ/カイ〉 衢〈同/ク〉 阡〈同/セン〉 陬〈同/シウ〉 塵〈チリ/チン〉 埃〈同/アイ〉 兒〈チコ/シ〉 幾〈チカシ/キ〉 茅〈チカヤ/…

色葉文字は、漢字をば其の代表的和訓の頭字により(毒〈トク〉陣〈チン〉軸〈チク〉智〈チ〉存〈ゾンス〉僧〈ソウ〉疸〈ソ〉俗〈ゾク〉藝〈ゲイ〉の如き國語化した字音語では無論字音頭字による)色葉順に擧げ、さらに以の部、呂の部等の各部に於いて平聲と…

色葉平仄辭書色葉文字に就いて

岡田希雄 書誌學 11(4): 117-122 安田文庫の椎園第三輯を頂戴したが、其れに川瀬氏が、同文庫の伊呂葉字平它明應十年本及び其の別本と目す可きものを紹介して居られるのを有益に拜見したに因み、「別本」の一類と見られる「色葉文字」を紹介して見る。