2008-10-19から1日間の記事一覧

近世狂歌史  菅竹浦氏著

江戸時代の文藝として最も多くの鑑賞家と創作家とを持つて居たものは、何といつても俳諧と狂歌とであらう。しかも俳諧は芭蕉を得蕪村を得て、藝術的に高い水準にまで達したのに反し、狂歌は遂に言語遊戲として終始した。今日狂歌が人々から殆ど顧みられなく…

前田侯爵家本三寶繪 池田龜鑑氏解説

源爲憲が冷泉院の女二宮尊子内親王の御爲めに、永觀二年十一月に物して献上した三寶繪また三寶繪詞には、三種の本文が傳存して居る。自ら眼福を得たのでは無いが、諸家の記されたのにより列記すると、其の一は前田侯爵家所藏本にして、寛喜二年庚寅三月十九…

眞福寺善本目録  黒板勝美博士編

名古屋市の眞福寺が内外典國書の古鈔本・古刊本・孤本□の□を夥しく所藏する事に於いて、海内屈指の名刹であるのは、今更らしく云ふまでも無い。「國寶に指定せられたるもの二十八點、又當に國寶に指定せらるべく、もしくは國寶に準ずべきもの殆ど一百點に及…

安田家本假名書論語  安田文庫内 川瀬一馬氏編

假名書論語と云ふのは、單に論語を漢字交り文に延書したと云ふ位のものでは無くて、漢字は殆んど入れない主義で、全部を假名で書いたものを云ふ。斯う云ふ假名書のものは、今日では到底作られさうにも無いけれど、古くは、假名書化する程度には相異があるけ…

柿堂存稿  岡井愼吾博士著

柿堂と云ふは小學の大家文學博士岡井愼吾先生の號である。博士は福井縣の人、明治二十六年四月小學校本科准教員の免状を得て小學校に奉職せられて以來、滿四年後には、「亂脈」を極めて教壇も立つて居ない福井中學校に於ける一年の受難を經て、伊豫の西條、…

新刊紹介

岡田希雄 潁原退藏 國語・國文 6(2): 113-121 (1936)