一四一 臂纎(六五)

○一四一 臂纎(六五)  上音比、云手上也、多太牟岐タダムキ、肘、張柳反、云比地ヒヂ、纖思廉反、細也、小也
慧苑に無し。此の項、「頻婆果者」の註文中に存するは不可、別項とす可きである。但し經文〈三一〇オ下一三〉に據れば臂纖長として擧げる可きだ。タダムキは記の沼河日賣の歌に、タクヅヌノ白キ多陀牟岐とある。キの假名一致する。次ぎに肘字は、經文の此の所には見えないから、何故此の字が出て來るのかゞ判らない。ヒヂは東大寺諷誦文稿にヒチ、新撰字鏡や和名抄にも見えるが古い假名書は無いので、假名の當否は判らぬ。さてタダムキやヒヂは直ぐあとにも再出する。